イソトニック収縮(Isotonic Contraction)は、筋収縮の一形態であり、筋肉の張力がほぼ一定のまま長さが変化する収縮を指す。読み方は「イソトニックしゅうしゅく」。英語表記は「Isotonic Contraction」。日常動作やスポーツの多くの場面で起こる筋収縮形式で、ウエイトトレーニングやリハビリテーション分野において基本的な概念として扱われている。
イソトニック収縮には「コンセントリック収縮」と「エキセントリック収縮」の2種類が存在する。コンセントリック収縮は筋肉が短縮しながら力を発揮する形式で、腕立て伏せで体を押し上げる動作やダンベルを持ち上げる動作が代表例である。一方、エキセントリック収縮は筋肉が伸張しながら力を発揮する形式で、階段を降りる動作やウエイトを下ろすときなどが該当する。これに対し、筋の長さが変わらない収縮はアイソメトリック収縮(等尺性収縮)と呼ばれる。
イソトニック収縮は筋力トレーニングのほとんどの場面で利用される。コンセントリック局面は筋力の発揮そのものを鍛えるのに適し、エキセントリック局面は筋肥大や筋損傷(良性のトレーニング刺激)に寄与する。例えばスクワットでは、しゃがみ込み時に大腿四頭筋がエキセントリック収縮し、立ち上がり時にコンセントリック収縮する。このように両局面が組み合わさってトレーニング効果が生じる。
イソトニック収縮の理解は、効果的なトレーニング設計に不可欠である。コンセントリックとエキセントリックを適切に組み合わせることで、筋力、筋肥大、持久力のバランスを取ることが可能になる。また、スポーツ動作では両者が連続的に起こるため、競技パフォーマンスを高める上でも理解が重要である。さらにリハビリにおいても、段階的に負荷を調整しながらイソトニック収縮を取り入れることで、安全かつ効果的に筋機能を回復させることができる。
研究によると、エキセントリック収縮はコンセントリック収縮に比べて筋肥大効果が大きいことが報告されている。また、高齢者を対象とした実験では、エキセントリック収縮を含むトレーニングが転倒予防や筋力維持に効果的であることが示されている。一方で、コンセントリック収縮は爆発的な力発揮を鍛えるのに有効であり、スプリントやジャンプなどのパフォーマンス向上と関連が深い。
イソトニック収縮は「筋張力が完全に一定」と誤解されやすいが、実際には動作中に多少の変化が生じる。また、エキセントリック収縮は筋肉に強い負担を与えるため、筋肉痛や損傷が起こりやすいが、これを適切に活用することでより大きなトレーニング効果を得ることができる。さらに、アイソメトリック収縮と混同しないよう注意が必要である。
A1. イソトニック収縮は筋長が変化する収縮、アイソメトリック収縮は筋長が変わらない収縮です。
A2. エキセントリック収縮は筋繊維に強い張力を与え、微細損傷を引き起こすため、修復過程で筋肥大が促進されます。
A3. はい。階段の上り下りや荷物の上げ下ろしなど、多くの日常動作でイソトニック収縮が関与しています。