イソメトリックトレーニング(Isometric Training)とは、筋肉の長さを変えずに収縮させる「静的筋収縮」を用いたトレーニングを指す。読み方は「イソメトリックトレーニング」、英語表記は「Isometric Training」である。動作中に関節の角度が変わらず、筋肉が一定の長さを保ちながら力を発揮することが特徴で、従来の「コンセントリック収縮(短縮性収縮)」や「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」と区別される。代表的な例としては、プランクやウォールシット、バーベルを持ち上げたままの保持動作などがある。
運動生理学的には、イソメトリック収縮は「張力の維持」に特化したトレーニング形式である。筋繊維は動かない状態でも強い緊張を保つことができ、この緊張が神経筋接合部への適応を促進する。また、静的収縮は高い神経動員を必要とするため、神経系トレーニングの一種としても位置づけられる。特に関節の安定性を強化する目的でスポーツ現場やリハビリテーションに応用されてきた。
イソメトリックトレーニングは以下のような形で応用される。
また、リハビリの段階では関節を動かさずに筋力を発揮できるため、損傷部位への負担を抑えながら筋活動を維持できる点が有効とされる。
イソメトリックトレーニングのメリットは以下の通りである。
これにより、パフォーマンス向上だけでなく、障害予防やリハビリテーションにおける有用性も高い。
イソメトリックトレーニングには以下のような誤解や注意点がある。
研究では、イソメトリックトレーニングが筋力の向上や関節安定性の改善に効果的であることが報告されている。特に膝関節や肩関節のリハビリプログラムで活用され、動作を伴わずに筋活動を維持できる点が臨床的に有用とされる。また、エリートアスリートはパフォーマンスの一環として、デッドリフトの特定ポジション保持やスクワットの静止など、競技動作に直結したイソメトリック法を導入している。
A1. はい。動的トレーニングほど顕著ではありませんが、十分な負荷と持続時間を確保すれば筋肥大効果も期待できます。
A2. 一般的には10〜30秒程度の保持が効果的ですが、目的に応じて60秒以上保持する場合もあります。
A3. 基礎的な筋力やリハビリ目的には有効ですが、総合的な筋力やパフォーマンス向上のためには動的トレーニングとの併用が推奨されます。