エンドルフィン(Endorphin)は、脳内で生成される神経ペプチドの一種で、内因性オピオイドとも呼ばれます。脳の下垂体や視床下部から分泌され、痛みの抑制や快感の増幅、ストレス緩和に重要な役割を果たします。その名前は「内因性(Endogenous)」と「モルヒネ(Morphine)」を組み合わせた造語で、強い鎮痛作用と幸福感をもたらすことから「脳内麻薬」と呼ばれることもあります。
エンドルフィンは主に運動、ストレス、痛み、笑い、音楽などの刺激によって脳から分泌されます。特に持続的な運動や強度の高い運動を行うと、脳の下垂体前葉からエンドルフィンが分泌され、ランナーズハイと呼ばれる高揚感や幸福感が得られます。ストレスが一定の範囲でかかることも分泌を促進しますが、過度のストレスは逆にバランスを崩す原因となります。
エンドルフィンは筋肉そのものに直接的な筋肥大作用を持つわけではありませんが、以下のように間接的に運動や回復をサポートします。
エンドルフィン分泌は「ランナーズハイ」として有名で、長時間の有酸素運動や高強度トレーニングの終盤に分泌が高まります。筋トレでも高強度のセットやサーキットトレーニングなどで分泌が促されます。運動後の幸福感や満足感はエンドルフィン分泌によるもので、継続的なトレーニング習慣の形成にも役立ちます。
直接的にエンドルフィンを増やすサプリは存在しませんが、栄養状態は神経伝達物質のバランスに影響を与えます。特にトリプトファン(セロトニンの前駆体)やオメガ3脂肪酸、マグネシウムは脳内環境を整えるのに役立ち、間接的にエンドルフィン作用を支える可能性があります。また、ダークチョコレートやスパイス(カプサイシン)はエンドルフィン分泌を刺激すると考えられています。
エンドルフィン不足はストレス耐性の低下、不安感、うつ症状、慢性疲労の原因となる可能性があります。逆に過剰分泌自体は通常の生活で起こりにくいですが、過度に依存的に運動や刺激を求める「運動依存症」の背景に関わることもあります。
研究によれば、持久的な有酸素運動は血中エンドルフィン濃度を上昇させ、痛みの閾値を高めることが確認されています。また、筋トレでもエンドルフィンの上昇が観察されており、運動の種類にかかわらずポジティブな精神的効果をもたらすことが報告されています。さらに、心理療法や音楽療法でもエンドルフィン分泌が促進されることが示されています。
「エンドルフィンを増やせば筋肉がつく」という誤解がありますが、実際には直接的な筋肥大作用はなく、主に精神的・代謝的なサポートを通じて間接的に運動効果を高めます。また、過度の依存的な運動は逆に心身の不調を招くため、適度な運動習慣が重要です。
A1. 直接的に筋肥大を促す作用はなく、主に痛み軽減や回復促進を通じて間接的にサポートします。
A2. はい。長時間の有酸素運動によるエンドルフィン分泌がランナーズハイの一因とされています。
A3. ダークチョコレートやカプサイシンを含む食品がエンドルフィン分泌を促すと考えられています。