オーバーカーディオとは、有酸素運動(カーディオ)を過剰に行うことによって、かえって健康やパフォーマンスに悪影響を及ぼす状態を指す。英語では「Over Cardio」または「Excessive Cardio」と表記されることが多い。読み方は「おーばーかーでぃお」。適度な有酸素運動は心肺機能の向上や脂肪燃焼に有効だが、過度に実施すると筋肉の分解やホルモンバランスの乱れを招き、トレーニング効果を損なうことがある。
運動生理学的に、有酸素運動は脂肪酸の酸化や心肺持久力の向上に寄与する。しかし長時間あるいは過剰な頻度で行うと、コルチゾールの慢性的な上昇、テストステロンや成長ホルモンの低下を引き起こし、筋肉の合成よりも分解が優位になる「カタボリック状態」を招きやすい。また、エネルギー収支の観点からも、過剰な消費が回復や筋肥大を阻害する原因となる。
適度なカーディオは、減量期における脂肪燃焼や心肺機能維持に役立つ。一方で、オーバーカーディオを避けるためには、有酸素運動の「時間」「強度」「頻度」をコントロールすることが重要となる。たとえば、ボディメイク目的の場合、1回あたり30〜40分、週3〜4回程度が目安とされることが多い。また、HIIT(高強度インターバルトレーニング)の導入により、短時間で脂肪燃焼と持久力向上を効率よく狙う方法もある。
有酸素運動を適切に取り入れることで、心肺機能の強化、脂肪代謝の促進、ストレス軽減、生活習慣病予防など多くのメリットが得られる。しかし、オーバーカーディオを避けることにより、筋力トレーニングとの両立が可能となり、筋肉量を保持しつつ体脂肪を減らす理想的な身体作りにつながる。この意味で「オーバーカーディオを防ぐこと」はパフォーマンス向上や健康維持の観点から重要な意義を持つ。
よくある誤解として「有酸素運動は多ければ多いほど痩せる」という考え方がある。しかし、実際にはオーバーカーディオによって代謝低下や筋量減少が起こり、長期的には痩せにくい体質をつくってしまう可能性がある。また、過度なカーディオは関節や心臓に負担を与えることもあるため、注意が必要である。
スポーツ科学の研究では、耐久系アスリートにおいて過度のトレーニング負荷が「オーバートレーニング症候群」を招くことが報告されている。また、筋肥大を目的とするレジスタンストレーニングと過剰な有酸素運動を組み合わせると、筋肉の発達が阻害される「干渉効果(Interference Effect)」が生じる可能性が示されている。実例として、減量期のボディビルダーは、カーディオ量を体調や体組成の変化に応じて細かく調整していることが知られている。
A1. 軽度であれば可能ですが、高強度や長時間を毎日行うのはオーバーカーディオにつながる可能性があります。
A2. 1回30〜40分、週3〜4回が一般的な目安とされています。
A3. 有酸素の頻度や時間をコントロールし、筋トレや休養とバランスを取ることが効果的です。