オールアウトとは、筋力トレーニングにおいて「もう1回も反復できない状態まで追い込むこと」を指す。英語では「All Out」や「Training to Failure」と表記され、読み方は「おーるあうと」。具体的には、対象の筋群が限界に達し、正しいフォームを維持した状態では挙上できない瞬間まで行うことを意味する。ボディビルディングの文脈でよく使われ、最大限の筋肉刺激を目的とする概念である。
オールアウトは筋繊維を限界まで動員し、筋肉の適応を最大化する考え方に基づいている。運動生理学的には、筋力発揮の最後の数回、すなわち「限界域」での反復が高閾値運動単位(速筋線維)を動員しやすく、筋肥大に寄与する可能性があるとされる。ただし、オールアウトは筋肥大の唯一の条件ではなく、過剰に行えば回復力を超えてオーバートレーニングにつながるリスクがある。
オールアウトは特にボディビルダーや上級トレーニーが筋肥大を狙う場面で用いられる。例えば、最後のセットのみオールアウトする、補助者をつけてフォーストレップ(強制反復)を行う、ドロップセットで重量を落としながら限界まで続けるなどの手法がある。持久系競技においては、短時間で全力を尽くす「オールアウト走」なども同様の概念で用いられる。
オールアウトの最大のメリットは、筋肉に強烈な刺激を与えられる点である。筋繊維の動員率を高め、通常のトレーニングでは得られにくい成長刺激を与えることができる。また、「限界までやりきった」という心理的達成感はモチベーションの維持にも役立つ。ボディメイクや大会前の仕上げ期など、特定の場面で非常に意義のある手法である。
オールアウトに関する誤解として「毎回オールアウトしなければ筋肉は大きくならない」というものがある。実際には、漸進的過負荷の原則が最も重要であり、常にオールアウトすることは回復を阻害する危険がある。また、フォームが崩れた状態で無理にオールアウトを狙うと、怪我のリスクが高まる。
Brad Schoenfeldらの研究では、オールアウト(筋力発揮の限界までの反復)が筋肥大を促進する可能性があると報告されている。しかし同時に、オールアウトを頻繁に行うと回復が追いつかず、長期的にはパフォーマンス低下を招くリスクも指摘されている。実例として、プロボディビルダーはコンテスト前の仕上げにオールアウトを戦略的に活用しており、一方でパワーリフターは主要リフトでは避け、補助種目に限定して取り入れるケースが多い。
A1. いいえ。毎回行うと疲労や怪我のリスクが高まるため、計画的に取り入れるのが効果的です。
A2. 必須ではありません。漸進的過負荷を守れば、オールアウトなしでも筋肥大は可能です。
A3. 初心者はフォーム習得が優先であり、オールアウトは推奨されません。安全性を考慮すべきです。