キネティックチェーン(Kinetic Chain)とは、関節や筋肉、骨が連動して力や運動を伝達する生体力学的なシステムを指す。読み方は「キネティックチェーン」。英語表記は「Kinetic Chain」。この概念は運動学やリハビリテーション、スポーツトレーニングにおいて重要で、個々の関節だけでなく、全身の連動性や運動効率を理解するための基盤となる。
キネティックチェーンは、複数の関節と筋肉が連動して動くことで力を効率的に伝えるシステムである。代表的には「上肢チェーン(肩・肘・手首)」「下肢チェーン(股関節・膝・足関節)」があり、これらが協調して動くことで安定性や推進力が生まれる。キネティックチェーンは閉鎖型(足が床に固定されるスクワットなど)と開放型(手や足が自由に動くレッグカールやアームカール)に分類される。
トレーニングにおいてキネティックチェーンの理解は不可欠である。閉鎖型運動では複数の関節が協調して筋力を発揮するため、筋肉のバランス向上や関節安定性の改善に有効である。一方、開放型運動は特定の筋群を集中して鍛えることが可能である。スポーツ動作では、キネティックチェーンを意識したフォームやドリルによってパフォーマンス向上やケガ予防が期待できる。
キネティックチェーンは力の伝達効率と運動の連動性を左右するため、運動パフォーマンスや怪我予防に直結する。例えばジャンプやスロー動作では、下肢や体幹、上肢の筋肉が連動することで大きな力を生み出す。また、リハビリでは損傷部位だけでなく、関連するチェーン全体の機能回復を図ることが重要である。
研究によると、閉鎖型キネティックチェーン運動は膝や股関節の安定性を向上させる効果があるとされる。また、野球やバスケットボールの投球・シュート動作では、下肢から体幹、上肢への力の伝達がパフォーマンス向上に寄与することが確認されている。リハビリ分野では、キネティックチェーン評価に基づく運動プログラムが筋力回復や関節可動域改善に有効であるとの報告がある。
「筋肉だけを鍛えれば良い」と考えがちだが、キネティックチェーンでは関節連動や神経系の協調が重要である。また、閉鎖型運動と開放型運動の特性を誤解すると、関節に過剰な負荷をかけるリスクがある。運動プログラムでは全身の連動性を意識し、適切なフォームで行うことが必要である。
A1. 関節や筋肉が連動して力や運動を伝えるシステムのことです。
A2. 開放型は手足が自由に動く運動、閉鎖型は手足が固定されて関節が連動する運動です。
A3. 力の効率的伝達、運動パフォーマンス向上、ケガ予防に役立ちます。