ケトーシス

ケトーシスとは?

ケトーシス(Ketosis)とは、体内で糖質が不足した際に脂肪酸が分解されて生成されるケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)が血中に増加し、エネルギー源として利用される代謝状態である。読み方は「ケトーシス」。英語表記は「Ketosis」。通常、低炭水化物食や断食、持久運動時に起こる生理的な現象であり、血液のpHは通常範囲内で維持される。

生理学的・科学的な概要

ケトーシスは、肝臓での脂肪酸分解(β酸化)が活発になり、アセチルCoAがケトン体に変換されることで起こる。ケトン体は血液を通じて脳や心筋、骨格筋に運ばれ、エネルギーとして利用される。生理的ケトーシスでは、血中ケトン体濃度は1〜7 mmol/L程度に達し、代謝性アシドーシスには至らない点が特徴である。糖質制限や断食時、肝臓のグリコーゲン枯渇が引き金となる。

トレーニングや運動との関係

長時間の有酸素運動や持久系スポーツでは、筋グリコーゲンの枯渇により脂肪酸が主要なエネルギー源となり、ケトン体産生が促進される。この状態は、糖質の摂取が少ない低炭水化物食やケトジェニックダイエットとも関連しており、運動パフォーマンスの持続や体脂肪減少の戦略として利用されることがある。適度なケトーシスは生理的に安全であり、効率的なエネルギー利用を可能にする。

重要性・役割

ケトーシスは糖質が不足する状況下で脳や筋肉に安定的にエネルギーを供給する重要な代謝経路である。特に絶食や長時間運動時には、グルコース依存性組織へのエネルギー補給として不可欠である。また、ケトジェニックダイエットや糖尿病管理において、血糖コントロールや体脂肪減少の戦略として活用されることもある。生理的ケトーシスと病態的ケトアシドーシスを区別する理解が重要である。

関連する研究・エビデンス

研究によると、低炭水化物食や断食により肝臓でのケトン体産生が増加し、脳や筋肉での脂肪酸由来エネルギー利用が向上することが報告されている。また、持久系アスリートではグリコーゲン枯渇時にケトン体が効率的なエネルギー源として利用されることが確認されている。さらに、ケトン体の増加はインスリン感受性の改善や体脂肪減少にも寄与する可能性がある。

よくある誤解や注意点

ケトーシスは「危険な状態」と誤解されがちだが、通常の範囲のケトン体増加は生理的で安全である。病態的ケトアシドーシスとは異なり、血液のpHは正常範囲内に保たれる。また、ケトン体の増加は必ずしも体脂肪減少を意味せず、栄養バランスや運動量と組み合わせることが重要である。

よくある質問(FAQ)

Q1. ケトーシスはどうやって起こりますか?

A1. 糖質摂取が少ない状態や断食、持久運動により肝臓で脂肪酸が分解され、ケトン体が生成されることで起こります。

Q2. ケトーシスとケトアシドーシスの違いは?

A2. ケトーシスは血液pHが正常で生理的、ケトアシドーシスは血液が酸性に傾き病的です。

Q3. ケトーシス中でも運動は可能ですか?

A3. はい。むしろ脂肪酸由来のエネルギー利用が増えるため、持久系運動には適応的です。

  • ケトン体
  • 脂肪酸代謝
  • ケトジェニックダイエット
  • 糖新生