コアトレーニングとは、体幹(コア)と呼ばれる腹部、背部、骨盤周囲の筋肉群を中心に鍛えるトレーニングの総称である。英語では「Core Training」と表記され、読み方は「こあとれーにんぐ」。コアは身体の安定性や姿勢保持、力の伝達の基盤となる部位であり、単に腹筋を鍛えるだけでなく、全身のバランスや機能性を高めることを目的としている。
運動生理学においてコアは、体幹深層筋(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜)と表層筋(腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋)で構成されるとされる。これらの筋肉は姿勢維持だけでなく、四肢にかかる力の効率的な伝達、腰椎の保護、呼吸と連動した安定性向上に重要である。スポーツ科学の研究では、コアトレーニングによりランニング効率や投擲力、ジャンプ力の向上が報告されており、特に体幹の安定性とパフォーマンスは密接に関連している。
コアトレーニングの代表的な動作には、プランク、サイドプランク、デッドバグ、ヒップリフト、バランスボール上でのエクササイズなどがある。スポーツ現場では、野球の投球動作、サッカーのキック動作、陸上競技のスプリントなど、全身の力を効率よく伝達する動作でコアの安定性が重要視される。日常生活でも、重い荷物を持ち上げる動作や長時間の座位姿勢保持など、腰痛予防や身体機能維持に活かされる。
コアトレーニングのメリットは以下の通りである:
「腹筋を鍛えればコアが強くなる」という認識は誤解である。腹直筋や腹斜筋の強化だけでは深層筋である腹横筋や多裂筋の安定性は十分に高まらない。また、過度な負荷やフォーム不良で行うと腰椎に負担がかかり、腰痛のリスクがある。
研究では、コアトレーニングがアスリートのランニング効率や投球速度、ジャンプ力の向上に寄与することが報告されている。また、リハビリテーション分野では、腰痛患者へのプランクトレーニングや骨盤安定性エクササイズが推奨されており、実生活での動作改善や再発防止に効果的である。スポーツクラブやパーソナルトレーニングでも、体幹強化を目的としたプログラムが広く導入されている。
A1. いいえ。腹筋だけでなく背筋や骨盤周囲の深層筋も含めた体幹全体のトレーニングです。
A2. はい。ただし、専門家の指導のもとでフォームを守り、負荷を調整することが重要です。
A3. 目安は週2〜3回、1回あたり10〜20分の短時間で質を重視して行うと効果的です。