コルチゾン(Cortisone)は、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンであり、グルココルチコイドの一種です。体内では主にコルチゾールの不活性型として存在し、11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β-HSD)によって相互変換されます。医学的には抗炎症作用や免疫抑制作用を持つ薬剤として使用されることが多く、関節リウマチやアレルギー疾患、炎症性疾患の治療に利用されてきました。
コルチゾンは副腎皮質でコルチゾールと密接に関連して生成されます。視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の働きにより、下垂体から分泌されるACTHが副腎皮質を刺激し、コルチゾールとともに分泌されます。体内では主にコルチゾールの不活性型として存在し、必要に応じて活性型のコルチゾールに変換されます。ストレス、炎症、低血糖などが分泌を促進する要因となります。
コルチゾンはコルチゾールと同様に筋肉への作用を持ちますが、直接的には不活性型のため弱い作用しか示しません。コルチゾールに変換されることで、以下のような影響を及ぼします。
高強度の運動や長時間の有酸素運動はコルチゾン/コルチゾールの分泌を高めます。急性的な増加は代謝を助ける役割を持ちますが、慢性的に分泌が続くと筋肉分解や回復遅延につながります。適切な休養と栄養補給により、コルチゾンのバランスを整えることが重要です。
コルチゾンの分泌そのものを直接コントロールする栄養素は限られていますが、トレーニング後の炭水化物とタンパク質の摂取はコルチゾール/コルチゾンの分泌抑制に役立ちます。ビタミンC、オメガ3脂肪酸、マグネシウムなどはストレス応答を和らげることで、間接的にコルチゾンの作用を緩和する可能性があります。
コルチゾン不足は副腎不全と関連し、低血糖、倦怠感、低血圧などを引き起こす可能性があります。一方、過剰な分泌や薬剤としての長期使用は、筋萎縮、骨粗しょう症、免疫力低下、高血圧、肥満などを招く恐れがあります。
臨床的には、コルチゾンはかつて抗炎症薬として広く使われてきましたが、より強力なプレドニゾロンなどの合成グルココルチコイドに置き換えられることが増えています。研究では、ストレス下や運動後のHPA軸の活動において、コルチゾンとコルチゾールの相互変換が重要であることが確認されています。
「コルチゾンは悪いホルモン」という誤解がありますが、実際には体内の恒常性維持に必須の役割を持ちます。問題となるのは慢性的に高値が続く場合や薬剤を長期的に高用量で使用した場合です。医療現場では必要最小限の使用が基本とされ、自己判断での使用は危険です。
A1. コルチゾンは不活性型であり、体内でコルチゾールに変換されることで活性を示します。
A2. 直接作用は弱いですが、コルチゾールに変換されることで筋分解を促進する可能性があります。
A3. 医師の指導下で短期間使用する分には有効ですが、長期使用や高用量では副作用のリスクがあります。