コレステロールLDL(Low-Density Lipoprotein Cholesterol、読み方:ロー・デンシティ・リポプロテイン・コレステロール)は、血液中でコレステロールを運搬するリポタンパク質の一種です。一般的には「悪玉コレステロール」と呼ばれ、体内の組織にコレステロールを運ぶ働きを担っています。しかし、過剰に存在すると血管壁に蓄積しやすく、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高める要因となります。
コレステロールは細胞膜やホルモン(ステロイドホルモン、ビタミンDなど)、胆汁酸の材料となる重要な脂質です。LDLは肝臓から全身の細胞にコレステロールを供給する役割を担います。一方で、余分なLDLコレステロールが血管内皮に沈着すると、酸化されてマクロファージに取り込まれ、動脈硬化の原因となるプラークを形成します。
ただし「メリット」というよりは必要不可欠な機能であり、バランスが重要です。
LDLコレステロールが極端に不足することはまれですが、欠乏すると細胞膜やホルモン合成に影響が出る可能性があります。過剰に増加した場合は、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な循環器疾患のリスクを高めます。特に酸化LDLが血管壁に沈着すると、血管が硬化・狭窄して血流障害を引き起こします。
LDLそのものを摂取するのではなく、食事や生活習慣で血中濃度を適切に保つことが重要です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取はLDLを増加させる要因となるため控えめにすることが推奨されます。厚生労働省では、LDLコレステロール値を成人で120〜139mg/dL以下に保つことが望ましいとされています。
有酸素運動や筋力トレーニングはLDLコレステロールを減少させ、善玉コレステロール(HDL)の増加につながります。ダイエットでは、野菜・魚・ナッツ・オリーブオイルなどを取り入れたバランスのよい食生活がLDLコントロールに有効です。特に食物繊維はコレステロールの吸収を抑制する働きを持ちます。
多数の疫学研究により、高LDLコレステロール血症が心筋梗塞や脳梗塞のリスク因子であることが明確に示されています。スタチン系薬剤によるLDL低下療法が心血管疾患の予防に有効であることも広く証明されており、LDL管理の重要性は国際的にも強調されています。
「LDLは完全に悪いもの」と思われがちですが、実際には生命維持に必要な役割を持ちます。問題は過剰な量や酸化によってリスクが高まる点にあります。また「サプリメントを飲めばすぐ改善できる」という誤解もありますが、基本は食生活と運動習慣の改善が最も重要です。
A1. 極端に低いとホルモン合成などに支障をきたす可能性があるため、適正範囲内に保つことが重要です。
A2. はい。魚や野菜、ナッツ類を取り入れ、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控えることで改善が期待できます。
A3. 有酸素運動や筋力トレーニングはLDLを減らし、HDLを増加させる効果があると報告されています。