サルコプラズマ肥大(Sarcoplasmic hypertrophy)とは、筋肉の筋繊維内にあるサルコプラズマという細胞質成分が増加することで筋肉のサイズが大きくなる現象を指します。読み方は「サルコプラズマひだい」、英語表記は "Sarcoplasmic hypertrophy" です。筋肉の見た目のボリュームは増すものの、筋力そのものの増加は比較的緩やかである点が特徴です。
筋肉の筋繊維は筋原線維(アクチン・ミオシン)とサルコプラズマ(細胞質、ミトコンドリア、グリコーゲン、酵素など)から構成されます。サルコプラズマ肥大は、この筋繊維内のサルコプラズマが増加することで筋繊維の断面積が大きくなる現象です。筋原線維肥大(Myofibrillar hypertrophy)と異なり、筋力の向上よりも筋量や筋肉の見た目のボリュームを増やすことが目的となることが多いです。高反復低重量のトレーニングやパンプ重視のワークアウトがサルコプラズマ肥大に関連しています。
サルコプラズマ肥大はボディビルディングや筋量増加を目的としたトレーニングで重視されます。一般的には8〜20回の高回数セットや休憩時間を短くしたトレーニングで筋肉内の血流を増やし、サルコプラズマの容量を増やすことが促されます。このタイプの肥大は筋肉のパンプ感を高めるとともに、栄養素の貯蔵量(グリコーゲン、ミオグロビン)を増やすことも可能です。
サルコプラズマ肥大は筋肉の見た目の大きさや体積を増やすため、審美的な筋肉作りに重要です。また、筋繊維内のグリコーゲンや酵素量が増加することで、持久力や筋疲労耐性の向上にも貢献する可能性があります。ただし、筋力の大幅な向上には筋原線維肥大を伴うトレーニングが必要であるため、目的に応じたトレーニング戦略が求められます。
研究によると、低〜中重量の高回数トレーニングはサルコプラズマ肥大を促進することが示されています。また、筋原線維肥大を伴わない筋肥大が観察されることもあり、筋肉の体積増加だけでは筋力増加が限定的である場合があることが報告されています。実験では、パンプトレーニングにより筋内のサルコプラズマ量が増加し、短期的な筋肉サイズ増加に寄与することが確認されています。
サルコプラズマ肥大は筋力増加と同義ではない点がよく誤解されます。筋肉が大きく見えても筋力が必ずしも向上するわけではありません。また、過剰な高回数トレーニングばかりに偏ると、筋原線維肥大や筋力向上の効果が十分に得られない可能性があります。目的に応じてサルコプラズマ肥大と筋原線維肥大をバランスよく取り入れることが重要です。
A1. 部分的には増えますが、筋力の大幅な向上は筋原線維肥大の方が効果的です。
A2. 高回数セット(8〜20回)、短い休憩時間、筋肉のパンプを意識したトレーニングが推奨されます。
A3. はい。重量・回数・休憩時間を調整することで両方を組み合わせたトレーニングが可能です。