サルコペニア(Sarcopenia)とは、加齢や生活習慣に伴って骨格筋量や筋力が低下する現象を指します。読み方は「サルコペニア」、英語表記は "Sarcopenia" です。主に高齢者に見られる症状で、筋量の減少に伴い身体機能が低下し、転倒リスクや日常生活の自立度低下に影響します。
サルコペニアは筋線維の萎縮、筋原線維量の減少、ミトコンドリア機能低下、ホルモン分泌の減少、神経支配の劣化など複合的な要因によって引き起こされます。加齢に伴うインスリン感受性低下や慢性的な炎症もサルコペニアの進行に関与します。また、タイプII(速筋)線維が選択的に減少することで瞬発力や筋力低下が顕著になります。
サルコペニアの予防や改善には、抵抗運動(レジスタンストレーニング)が非常に効果的です。筋力トレーニングにより筋原線維の増加と筋力向上が期待でき、日常生活動作の維持にもつながります。さらに、有酸素運動やバランス運動を組み合わせることで、全身の機能的健康と転倒予防にも寄与します。運動はサルコペニアの進行を遅らせるだけでなく、生活の質(QOL)の向上にもつながります。
サルコペニアの理解は、高齢者の健康維持や自立生活のために極めて重要です。筋量や筋力の低下は転倒・骨折のリスクを高め、慢性疾患や生活習慣病の管理にも影響します。また、筋肉は基礎代謝量を維持する上で重要な臓器であり、筋量低下はエネルギー代謝や体重管理にも関わります。そのため、サルコペニア予防は長寿や健康寿命延伸に直結します。
研究によると、抵抗運動を週2〜3回行う高齢者は筋力低下や筋量減少の進行が抑えられることが示されています。また、蛋白質摂取の最適化やビタミンD補給と組み合わせることで、筋肉機能の維持がさらに促進されることが報告されています。加齢に伴う筋量減少と運動介入の関係を調べた実験では、トレーニング群で歩行速度や握力の改善が確認され、日常生活機能の改善にもつながることが分かっています。
サルコペニアは単なる加齢現象ではなく、生活習慣や運動不足、栄養不足によって進行する可逆的な要素もあります。筋力や筋量低下を年齢のせいにして諦めるのは誤解です。また、サルコペニアと筋萎縮症などの疾患性筋力低下は区別する必要があります。診断や介入は、医療・運動指導の専門家と連携することが望ましいです。
A1. 個人差がありますが、一般的には30歳以降から徐々に筋量が減少し始め、60歳以降で顕著になります。
A2. 抵抗運動(筋力トレーニング)が最も効果的で、有酸素運動やバランス運動と組み合わせるとさらに効果的です。
A3. 十分なタンパク質摂取、ビタミンDやオメガ3脂肪酸の補給が、筋量と筋力維持に役立ちます。