サーキットトレーニングとは、「Circuit Training」の日本語表記で、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせ、複数の種目を短時間で連続して行うトレーニング手法を指します。「サーキットトレーニング」と読みます。サーキットとは「回路」を意味し、異なる運動種目を順番に行い、一定の休憩後に再度回る形式が特徴です。一般的に筋肉部位ごとに異なる種目を組み合わせ、心拍数を高く維持することで、筋力向上と持久力の両方を同時に鍛えられる点が魅力です。
サーキットトレーニングは、1950年代にイギリスで考案されたトレーニング法で、従来の筋力トレーニングやランニングとは異なり、全身を効率的に鍛えることを目的としています。運動生理学的には、短時間で異なる筋群を交互に使用することで局所的な疲労を抑えつつ、心肺機能に持続的な負荷をかけることができます。この手法は、心拍数を高く維持することから、心血管系への適応を促進し、代謝率の向上や脂肪燃焼効果を高める効果が科学的に報告されています。
サーキットトレーニングは、ダンベルやバーベル、ケトルベル、マシン、さらには自重を利用した運動を組み合わせて行うことができます。例えば、腕立て伏せ、スクワット、腹筋、ジャンピングジャック、ランニングマシンでの有酸素運動を順番に行い、各種目の間に短い休憩を挟みながら1セットを回す形式です。この方法では、特定の筋肉だけでなく全身をまんべんなく刺激でき、心肺機能の向上や筋持久力の強化、運動効率の向上につながります。競技スポーツ選手の体力維持や減量目的の一般トレーニーにも広く用いられています。
サーキットトレーニングの最大のメリットは、筋力向上と有酸素運動の効果を同時に得られる点です。短時間で心拍数を上げ、全身の筋肉をバランス良く鍛えることで、脂肪燃焼や基礎代謝の向上、心肺機能の改善につながります。また、複数の種目を連続して行うため、飽きずにトレーニングを継続しやすく、時間効率の面でも優れています。さらに、筋持久力やバランス能力、協調性も自然に向上するため、日常生活やスポーツパフォーマンスの向上にも寄与します。
サーキットトレーニングの誤解として、「休憩を取らずに全力で行えばより効果が高い」という考えがあります。実際には、適切な休憩を設けることで筋肉への負荷と心拍数のバランスが保たれ、怪我のリスクを低減できます。また、フォームが崩れたまま種目を行うと、筋肉ではなく関節や靭帯に負担がかかるため、正しい動作を優先することが重要です。初心者の場合は、種目数やセット数を少なめに設定して体力に合わせることが推奨されます。
研究では、サーキットトレーニングが心肺機能の向上、筋持久力の増加、脂肪燃焼効率の改善に効果的であることが示されています。特に、高強度インターバルトレーニング(HIIT)と組み合わせることで、短時間での体脂肪減少や筋力向上が確認されています。スポーツ現場では、サッカーやバスケットボールなどの持久力と瞬発力が求められる競技において、フィジカルトレーニングの一環として活用されており、選手の全身持久力向上や疲労回復の促進に寄与しています。
A1. 筋肥大よりも筋持久力や心肺機能の向上が主な効果ですが、重量や負荷を調整すれば筋肥大効果も期待できます。
A2. はい。軽い負荷と少ない種目から始め、体力に応じてセット数や種目を増やすことで安全に行えます。
A3. 種目間は30秒〜1分程度、セット間は2〜3分程度の休憩を目安にするとバランス良く効果を得られます。