ストレスホルモン(コルチゾール)

ストレスホルモン(コルチゾール)とは?

ストレスホルモンとは、一般的に副腎皮質から分泌される「コルチゾール(Cortisol)」を指します。コルチゾールはグルココルチコイドの一種で、代謝調節、免疫反応、炎症制御などに重要な役割を持ちます。特にストレス応答に深く関与するため「ストレスホルモン」と呼ばれています。日内変動があり、早朝に分泌がピークを迎え、夜に低下するリズムを持っています。

分泌される仕組みと調節因子

コルチゾールの分泌は視床下部-下垂体-副腎(HPA軸)によって調整されています。視床下部からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されることで副腎皮質からコルチゾールが放出されます。心理的・身体的ストレス、炎症、低血糖、強度の運動などが分泌を刺激する因子となります。

筋肉への主な作用

コルチゾールはストレス下でエネルギー供給を確保するために働きますが、筋肉に対しては以下のような作用があります。

  • 筋タンパク質を分解して糖新生の材料とする
  • 急性の分泌はエネルギー供給に有利に働く
  • 慢性的な高値は筋肉量低下や筋肥大の阻害要因となる
  • 抗炎症作用により、過剰な炎症を抑える働きも持つ

運動との関係

高強度トレーニングや長時間の持久運動はコルチゾール分泌を増加させます。急性的な上昇はエネルギー利用を助けるため有益ですが、オーバートレーニングや休養不足による慢性的な高値は筋分解や免疫低下を引き起こします。運動と休養のバランスがコルチゾール管理の鍵です。

栄養・サプリとの関係

運動後に炭水化物とタンパク質を補給することで、血糖値の安定化とコルチゾール抑制が期待できます。ビタミンCやオメガ3脂肪酸はストレス応答を緩和し、コルチゾールの過剰作用を和らげることが報告されています。また、アシュワガンダやロディオラなどのアダプトゲンハーブもストレス耐性を高める目的で利用されています。

不足や過剰がもたらす影響

コルチゾール不足(副腎不全)は低血糖、低血圧、倦怠感、体重減少を招きます。一方、過剰分泌(クッシング症候群や慢性的ストレス状態)は中心性肥満、筋力低下、骨粗しょう症、高血圧、免疫抑制を引き起こすリスクがあります。適正な分泌量とリズムを維持することが健康に不可欠です。

関連する研究・エビデンス

研究では、コルチゾールが短期的には代謝や炎症抑制に有効に作用する一方で、慢性的な高値はメタボリックシンドローム、精神的な不調、筋肉量低下に関連することが示されています。また、運動後の適切な栄養補給や十分な睡眠がコルチゾール管理に有効であると報告されています。

よくある誤解や注意点

「コルチゾール=悪いホルモン」という誤解がありますが、適切な分泌は生命維持に不可欠です。問題となるのは慢性的な高値状態であり、生活習慣やストレス管理の不良が大きな要因です。安易に抑制を狙うのではなく、食事・運動・休養のバランスを整えることが基本です。

よくある質問(FAQ)

Q1. コルチゾールが高いと筋肉は減りますか?

A1. はい。慢性的に高値が続くと筋分解が促進され、筋肉量低下につながります。

Q2. コルチゾールを下げる方法はありますか?

A2. 睡眠の確保、バランスの取れた食事、ストレス管理、適度な運動が有効です。

Q3. 運動するとコルチゾールは必ず上がりますか?

A3. 高強度や長時間の運動では一時的に上昇しますが、適度な運動は長期的に安定化に寄与します。

  • グルココルチコイド
  • ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
  • HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)
  • ストレス応答