チオクト酸(Thioctic Acid、読み方:チオクトさん)は、一般的には「α-リポ酸(Alpha Lipoic Acid, ALA)」として知られる補酵素の一種です。脂溶性と水溶性の両方の性質を持ち、細胞内のエネルギー代謝において重要な役割を果たします。ビタミン様物質として位置づけられ、抗酸化作用を持ちながら糖代謝や脂質代謝をサポートする点で注目されています。サプリメントとしては抗酸化サポート、ダイエット補助、疲労軽減などを目的に利用されることが多い成分です。
チオクト酸はミトコンドリア内でピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の補因子として働き、糖を効率的にエネルギーへ変換する代謝経路に関与します。また、強力な抗酸化作用を持ち、グルタチオンやビタミンC、ビタミンEの再生を助けることで細胞を酸化ストレスから守ります。さらに、血糖コントロールに関わる作用もあり、インスリン感受性の改善が期待されています。
チオクト酸は体内でも合成されるため、明確な欠乏症はありませんが、加齢や疾患によって生成能力が低下すると抗酸化力や代謝効率の低下が見られることがあります。過剰摂取では吐き気、下痢、低血糖などが報告されています。特に糖尿病治療薬と併用する場合、血糖値が下がりすぎるリスクがあるため注意が必要です。
サプリメントとしては1日あたり300〜600mgが一般的な目安量です。糖尿病性ニューロパチーの治療では医療的に600mgが用いられることもあります。ALAは食後の摂取で吸収がやや抑制されるため、空腹時の摂取が推奨される場合があります。ただし胃腸が弱い人は食後に摂取した方が安心です。
チオクト酸は糖の代謝を高めてエネルギーに変換する働きを持つため、トレーニング時のパフォーマンス維持や疲労軽減に有効です。また、脂肪酸代謝をサポートすることでダイエットの補助にもなります。抗酸化作用によって運動後の酸化ストレスを軽減する効果も期待されています。
臨床研究では、チオクト酸が糖尿病性ニューロパチーの症状改善に有効であることが確認され、欧州では医薬品としても利用されています。また、インスリン抵抗性の改善や抗酸化作用による細胞保護効果が報告されており、メタボリックシンドロームや神経疾患への応用が研究されています。
「チオクト酸を摂れば必ず痩せる」といった誤解がありますが、単独で体重減少効果を生むものではありません。あくまで代謝や抗酸化をサポートする成分であり、食事管理や運動と併せて活用することが重要です。また「副作用が全くない」と思われがちですが、過剰摂取による胃腸障害や低血糖リスクがあるため適量を守る必要があります。
A1. はい。チオクト酸はα-リポ酸の別名であり、同じ成分を指します。
A2. 吸収効率を重視するなら空腹時が推奨されますが、胃腸が弱い人は食後に摂取すると安心です。
A3. 単独で痩せる効果は限定的ですが、代謝やエネルギー効率をサポートすることでダイエットの補助として有効です。