テストステロンは、アンドロゲンに属するステロイドホルモンであり、男性では主に精巣で産生される主要な性ホルモンです。男性らしさを形作る二次性徴(筋肉や骨量の増加、体毛の成長)を促進するほか、蛋白同化作用によって筋肉や骨の成長、性機能や気分、さらには認知機能まで幅広く体に影響を与えます。女性でも卵巣や副腎から少量分泌され、健康維持に関与しています。
テストステロンはコレステロールを原料として生体内で合成される脂質ホルモンです。正常な成人男性のテストステロン濃度は女性の約7〜8倍とされ、分泌量は20倍程度にもなります。主な作用部位は筋肉、骨、前立腺、皮膚、神経系など多岐にわたり、成長、代謝、健康維持に不可欠なホルモンです。体内ではアンドロゲン受容体と結合し、ゲノム上で遺伝子発現を調節します。
筋肥大を促進する主要なホルモンのひとつがテストステロンです。テストステロンは筋線維内のタンパク質合成を増加させ、筋肉補修や成長をサポートします。特に速筋線維を太くし、筋肉量の増加や筋力向上をもたらします。サテライトセル(筋衛星細胞)の活性化も引き起こし、筋線維の新生や再生が効率的に進みます。テストステロン値が低下すると、筋肥大しづらくなる傾向が報告されています。
テストステロンはアンドロゲン受容体に結合し、細胞核内で遺伝子レベルでタンパク質合成を強力に促進します。筋肉細胞内ではアミノ酸から新しいタンパク質を作り出す過程を強化し、筋肉の修復・成長を促進します。また、赤血球の増加や骨密度の維持、脂質・糖代謝の改善などにも関与し、全身の健康機能にもプラスに働きます。
高強度のレジスタンストレーニング(筋トレ)は一時的にテストステロンの分泌を増加させます。特に大筋群を使った複合種目(スクワットやデッドリフトなど)は効果的です。テストステロン合成には良質な脂質(コレステロール)、亜鉛、ビタミンDが必要とされ、これらを適切に摂取することでホルモン産生が支えられます。利用可能エネルギーや総摂取カロリーも大きく影響し、エネルギー不足や過度なダイエットはテストステロン値の低下につながります。牡蠣や赤身肉、卵などは栄養学的に有効な食品です。大豆イソフラボンのように、植物性成分によるホルモン調節にも注目が集まっています。
2025年現在の研究では、テストステロンの分泌と筋肥大の関係だけでなく、心血管健康、骨密度、精神面、さらにはがん治療における逆説的効果も注目されています。男性の加齢に伴うテストステロン低下が生活習慣病やメンタルヘルスに影響する事実も確認されています。一方で、テストステロン値が極度に上昇した場合のリスク(前立腺肥大など)も議論されています。最新エビデンスは、適切なホルモンバランスの維持の重要性に焦点を当てています。
高強度レジスタンストレーニング(スクワット・デッドリフト・ベンチプレスなど大筋群の複合種目)がテストステロン分泌を最大化する効果が高いとされています。
タンパク質、亜鉛、ビタミンD、良質な脂質はテストステロン合成に重要です。牡蠣や卵、赤身肉、青魚などを積極的に摂ることが推奨されます。大豆イソフラボンなどの植物性成分にも調節作用があります。
テストステロン値が低下するとタンパク質合成が減少し、サテライトセルの活動も鈍くなり筋肥大はしづらくなります。加齢や過度なダイエット、エネルギー不足で低下しやすいです。