デオキシコール酸(Deoxycholic Acid、読み方:デオキシコールさん)は、胆汁酸の一種であり、胆汁中に存在する二次胆汁酸として知られています。コール酸から腸内細菌の作用によって生成され、脂質の乳化や吸収に関わる重要な役割を担っています。医薬品や美容医療の分野では、脂肪分解作用を利用して部分痩せ注射(いわゆる「脂肪溶解注射」)の有効成分としても利用されており、サプリメント素材としては消化サポートや代謝への影響が研究されています。
デオキシコール酸は、脂質をミセル化することで小腸での吸収を助ける働きを持っています。また、脂肪や脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収効率を高めることに寄与します。胆汁酸は肝臓で合成された後、腸で再利用される「腸肝循環」を行いますが、デオキシコール酸もこの循環に含まれます。さらに、代謝や腸内環境に影響を与えることが示唆されており、近年では腸内細菌との関連性が注目されています。
デオキシコール酸は体内で生成されるため「欠乏症」はありませんが、胆汁酸の分泌や腸肝循環が乱れると脂質の消化吸収不良が起こり、下痢や脂肪便などを招くことがあります。過剰に生成・蓄積されると、大腸粘膜への刺激が強まり、大腸がんリスクの増加との関連が指摘されています。また、美容医療における過剰注入は炎症や硬結などの副作用を引き起こすことがあります。
一般的な食事から直接摂取する成分ではなく、体内で生成される内因性成分です。サプリメントとして利用される場合は、胆汁酸塩や消化サポート素材の一部として配合されることがあります。明確な推奨摂取量は定められていませんが、医薬品や美容医療用途では専門家の管理下で使用されます。
デオキシコール酸自体が直接筋肥大や持久力向上に寄与するわけではありませんが、脂質代謝やエネルギー利用に関与することから、間接的に体組成の改善に寄与する可能性があります。美容医療では脂肪溶解注射に使用されるため、ダイエットや部分痩せの補助手段として注目されています。
研究により、デオキシコール酸が脂肪細胞を破壊する作用を持つことが確認され、これに基づき脂肪溶解注射の有効成分として承認されています。また、腸内細菌叢との関連や大腸がんリスクへの影響も報告されており、腸内環境と健康リスクの関係を理解する上で重要な研究対象となっています。
「デオキシコール酸を摂ればすぐに痩せる」といった誤解がありますが、サプリや医薬品としての使用は限定的であり、即効的な減量効果は期待できません。また、美容医療で使用される場合も安全性や副作用に注意が必要であり、必ず医師の管理下で行うことが推奨されます。
A1. いいえ。デオキシコール酸は腸内でコール酸から生成されるもので、食品から直接摂ることはできません。
A2. 適切な用量で医師の管理下で使用すれば有効性が確認されていますが、副作用のリスクもあるため注意が必要です。
A3. 一般的なサプリとしては広く流通していません。主に医療や研究分野で利用される成分です。