ニュートラルグリップとは、トレーニングにおける握り方の一つで、手のひら同士が向かい合う状態(親指が上を向く状態)で器具を握るフォームを指す。英語では「Neutral Grip」と呼ばれる。読み方は「ニュートラルグリップ」。ダンベルやマシン、懸垂バーなどで用いられることが多く、手首や肩関節にかかる負担を軽減しながら安全に動作を行える握り方として知られている。 pronated grip(オーバーグリップ)や supinated grip(アンダーグリップ)と比較して中立的な位置にあり、関節の自然な動きを引き出せるのが特徴である。
運動生理学的に、手のひらを内向きにしたニュートラルグリップは、肩関節の外旋や内旋に過度なストレスを与えず、上腕骨頭の安定性を確保できる点に意義がある。特に肩関節は可動域が広い分、不安定性を抱えやすい構造であるため、中立的な握り方は障害予防に役立つ。また、前腕の回内・回外動作が減ることで、手首への負担も軽減される。そのため、リハビリテーションや高重量トレーニングの補助的なフォームとしても推奨される。
ニュートラルグリップは、ベンチプレスやショルダープレス、懸垂、ロウイング種目などで活用される。例えば「ニュートラルグリップベンチプレス」では、大胸筋だけでなく上腕三頭筋への刺激が強まり、肩の前方ストレスを軽減できる。「ニュートラルグリップ懸垂」では広背筋と上腕二頭筋を協調して鍛えやすく、初心者でも取り組みやすい。さらに、ダンベルやケーブルマシンを使う際にニュートラルグリップを選択することで、可動域を広くとりつつ安全に筋肉へ刺激を与えることができる。
ニュートラルグリップのメリットは以下の通りである。第一に、肩や手首への負担が軽減され、ケガの予防につながる。第二に、対象筋に適切な負荷を与えやすく、補助筋群の動員も調整できる。第三に、動作中の安定性が高いため、初心者から上級者まで幅広く利用できる。特に肩関節に不安を抱えるトレーニーやリハビリ目的の人にとって、ニュートラルグリップは重要な選択肢となる。
ニュートラルグリップに関しては、以下のような誤解や注意点がある。
研究では、ニュートラルグリップを用いたベンチプレスでは肩の前方剪断力が軽減され、肩峰下インピンジメントのリスクが減少することが報告されている。また、懸垂種目においてもニュートラルグリップが前腕と上腕二頭筋の活動を高める一方で、肩関節への負担を軽減する傾向が示されている。実際のトレーニング現場では、プロアスリートがシーズン中に肩関節を保護する目的でニュートラルグリップを取り入れる例も多い。
A1. はい。関節への負担が少ないため初心者でも安心して取り入れられます。
A2. 広背筋と上腕二頭筋を効率的に鍛えられ、肩のストレスを軽減する効果があります。
A3. 専用のマルチグリップバーを使用すれば可能ですが、一般的なストレートバーでは難しいです。