バイオティン(英語表記:Biotin、別名:ビタミンB7、ビタミンH、読み方:ばいおてぃん)は、水溶性ビタミンB群の一種で、糖質・脂質・タンパク質の代謝に関与する補酵素として重要な役割を果たします。皮膚や髪、爪の健康維持に関連が深いことから、美容系サプリメントとしても広く利用されています。体内では腸内細菌によって合成されるほか、卵黄、レバー、ナッツなどの食品から摂取できます。
バイオティンはカルボキシラーゼ酵素の補因子として機能し、糖新生、脂肪酸合成、アミノ酸代謝など多くの代謝経路に関与します。特にエネルギー生成や皮膚・髪の合成過程において不可欠です。また、免疫機能や神経系の働きの維持にも関与すると考えられています。
通常の食生活では欠乏症は稀ですが、生卵白の大量摂取(アビジンによる吸収阻害)や抗生物質の長期使用、腸内環境の悪化で不足することがあります。欠乏すると皮膚炎、脱毛、爪の脆弱化、抑うつ、しびれなどの神経症状が現れることがあります。一方、バイオティンは水溶性であり、過剰分は尿中に排泄されるため、通常のサプリ摂取で過剰症はほとんど報告されていません。
食品からの摂取が基本であり、卵黄、レバー、大豆、ナッツ、魚介類に豊富に含まれます。日本の食事摂取基準では、成人で1日50μgが推奨量とされています。サプリメントとしては100〜500μg程度が一般的に販売され、美容や健康維持を目的に利用されます。
バイオティンはエネルギー代謝に関与するため、トレーニング中の持久力や回復力の維持に寄与すると考えられています。ダイエット時に糖質や脂質代謝を効率よく行うためにも重要な栄養素です。また、髪や肌の健康を維持する点から、美容とボディメイクを両立したい人に適しています。
臨床研究では、バイオティン補給が爪の脆弱性改善や髪の成長促進に有効である可能性が示されています。また、特定の皮膚疾患や代謝異常に対しても有用性が研究されています。ただし、美容目的でのサプリ摂取については十分な大規模臨床試験は限られており、今後の検証が求められます。
「バイオティンを摂れば髪が必ず生える」というのは誤解です。遺伝的な脱毛症に直接作用するものではなく、あくまで不足による髪や爪の健康低下を防ぐ役割です。また「多く摂れば摂るほど美容効果がある」という考えも誤りであり、必要量を超えた摂取は意味がありません。
A1. はい。バランスの良い食事をしていれば通常は不足しません。卵黄、ナッツ、レバーなどに豊富です。
A2. 爪や髪の弱さを感じている人や、腸内環境が不安定な人には補助的に役立つ可能性があります。
A3. 妊娠期の健康維持にも必要な栄養素ですが、サプリメントの使用は医師に相談することが推奨されます。