ヒンジムーブメントとは、股関節(ヒップジョイント)を支点に身体を前後に曲げ伸ばしする動作パターンを指す。英語では「Hip Hinge Movement」と表記され、日本語では「股関節ヒンジ動作」とも呼ばれる。読み方は「ひんじむーぶめんと」。代表的な種目にはデッドリフト、ルーマニアンデッドリフト、グッドモーニングなどがあり、下半身の後面(ハムストリングス、大殿筋、脊柱起立筋など)を強く活用する動作である。
運動生理学的に、ヒンジムーブメントは「股関節優位」の動作であり、膝関節ではなく股関節を中心に動作を行うことが特徴である。スポーツ科学では、ヒンジ動作が爆発的な力発揮(スプリント、ジャンプ、リフト動作)に直結するとされ、基礎的な運動パターンの一つとして位置づけられている。また、日常生活における物の持ち上げ動作(腰を痛めにくい姿勢)にも関与する重要な動きである。
ヒンジムーブメントは以下のようなトレーニングに応用される。
これらの種目はアスリートのパワー養成やボディメイクに広く用いられ、特に下半身後面の筋群を強化する目的で重要視される。
ヒンジムーブメントの利点は以下の通りである。
これらの点から、ヒンジムーブメントはスポーツのみならず健康づくりや機能改善にも意義がある。
よくある誤解は「ヒンジムーブメント=腰を曲げる動作」と捉えてしまうことである。実際には腰ではなく股関節を支点に動作する必要があり、腰椎を過度に屈曲させると怪我のリスクが高まる。また、膝をほとんど曲げない極端なフォームも誤りで、適度な膝の屈曲を伴うことが正しい動作習得につながる。正確なフォーム習得のためには、壁ドリル(壁にお尻を引く練習)などの基礎練習が有効である。
スポーツ科学の研究では、ヒンジ系トレーニングは短距離走や垂直跳びのパフォーマンス向上に直結することが示されている。また、腰痛予防プログラムにおいても股関節主導の動作習得は重要とされ、腰椎へのストレスを軽減する実例が報告されている。さらに、トップアスリートは必ずといってよいほどデッドリフトやヒップスラストといったヒンジ種目を取り入れており、競技力向上に不可欠なトレーニングとされている。
A1. はい。軽負荷や自重でのドリルから始めれば初心者でも習得可能です。
A2. ヒンジは股関節主体の動作で、スクワットは膝関節主体の動作という点で異なります。
A3. 正しいフォームを守れば腰椎への負担を減らす効果がありますが、痛みがある場合は専門家に相談すべきです。