フィジカルテストとは、身体能力や体力レベルを客観的に測定・評価するために実施される各種テストの総称である。英語では「Physical Test」と表記され、日本語では「体力測定」や「身体能力テスト」とも呼ばれる。読み方は「ふぃじかるてすと」。スポーツ選手のコンディション把握や、一般の健康診断の一環としても実施されることがある。目的に応じて筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、瞬発力、平衡感覚など多様な側面を評価する。
運動生理学では、体力は複合的な要素から構成されているとされ、「筋力」「筋持久力」「全身持久力」「柔軟性」「調整力」などが代表的な要素である。スポーツ科学の観点では、フィジカルテストはこれらを分けて測定することで、パフォーマンスに必要な基礎体力の強みや弱点を明らかにする手段として位置づけられる。また、トレーニング計画を立案するための基礎データとしても重要な役割を担う。
フィジカルテストは以下のように活用される。
このように、評価データを基にトレーニング内容を調整し、効率的な強化や改善を実現する。
フィジカルテストのメリットは以下の通りである。
このように、パフォーマンス向上だけでなく、健康維持や動作改善の指標としても意義が大きい。
誤解されやすい点は「フィジカルテストの成績=競技力の全て」という認識である。実際には、スポーツパフォーマンスは技術、戦術、メンタル要因も大きく影響するため、フィジカルテストはあくまで基礎体力の評価にすぎない。また、測定環境や測定者による誤差が出やすいため、標準化された条件で実施することが重要である。
研究では、フィジカルテストの結果と競技パフォーマンスの相関が競技種目ごとに異なることが示されている。例えばサッカーではYo-Yoテスト(反復持久力テスト)が有用であり、陸上競技では垂直跳びやスプリントテストがパフォーマンス予測に役立つとされる。また、学校教育現場では文部科学省が「新体力テスト」として全国的に導入しており、健康教育や体力向上施策の一環として活用されている。
A1. 一般的には年1〜2回が目安ですが、アスリートはシーズン前後に実施して状態を把握するのが望ましいです。
A2. 競技力の一部を把握できますが、技術や戦術、精神面も重要であるため、単独では競技力全体を評価できません。
A3. 握力や立ち幅跳び、反復横跳びなどは簡易的に自宅でも実施可能ですが、正確な測定には専用機材や専門指導者が望ましいです。