フォーストレップ(Forced Repetition:強制反復法)とは、筋力トレーニングのテクニックの一つであり、自力で挙上できなくなった限界の回数に達した後、補助者のサポートを受けながら数回追加で動作を行う方法を指す。日本語では「強制反復法」「強制レップ」とも呼ばれる。英語表記は「Forced Repetition」で、主にウェイトトレーニングにおいて筋肥大や筋持久力を促進する目的で使用される。
運動生理学的にフォーストレップは、筋線維への疲労刺激を通常の限界点を超えて与えることにより、より強い筋タンパク合成反応を引き起こすとされている。特に速筋線維を対象とした高負荷トレーニングにおいて、最後の数回の強制反復が筋線維の動員率を高め、筋肥大効果を増大させると考えられている。ただし中枢神経系への負担も大きく、過度の実施はオーバートレーニングにつながるリスクがある。
実際の応用としては、ベンチプレスやスクワットなど高重量コンパウンド種目、あるいはアームカールのようなアイソレーション種目で利用される。トレーニーが自力で動作できなくなった時点で、補助者がわずかに手助けしながら挙上を継続する。これにより通常では不可能な追加刺激を与えることができる。パーソナルトレーナーの指導下や経験豊富な補助者の存在が必須である。
フォーストレップのメリットは、通常の限界を超える筋刺激を与えられる点にある。これにより筋肥大の促進、筋持久力の向上、精神的な限界突破力の強化が期待できる。また、高重量トレーニングで停滞期を迎えた際の打破方法としても用いられる。一方で、補助者の技量や判断が成果を大きく左右するため、信頼できる環境で行う意義が強調される。
フォーストレップは「多用すればするほど筋肥大する」と誤解されがちだが、むしろ過剰に行うと中枢神経や関節に過度の疲労を蓄積させる。正しくは、通常のトレーニングの補助手段として周期的に組み込むことが望ましい。また、補助者が過剰に介入すると「実質的に重量を支えている」状態になり、効果が減少する。フォームを崩して無理に続けることも怪我のリスクを高める。
研究では、フォーストレップを取り入れたトレーニング群が通常群よりも筋肥大効果を示す場合があることが報告されている。ただしその差は長期的には明確でないとされ、むしろ心理的要因や短期的な刺激の強さが寄与していると考えられる。実例として、ボディビルダーやパワーリフターが筋肥大や筋力停滞を打破するために利用するケースが多い。一般的なフィットネス愛好者では補助者確保の難しさから導入率は低いが、効果的なテクニックとして知られている。
A1. いいえ。過度に行うと疲労が蓄積するため、停滞期や特定のフェーズで周期的に取り入れるのが効果的です。
A2. 基本的に補助者が必要です。マシンを用いて限界を超える工夫をすることも可能ですが、安全性が最優先です。
A3. 初心者には推奨されません。まずは正しいフォームと基本的な負荷管理を習得してから導入するのが望ましいです。