ベアフットランニング(Barefoot Running)とは、その名の通り「裸足で走ること」、あるいは裸足感覚を再現したミニマルシューズを履いて走ることを指すトレーニング方法である。日本語では「裸足ランニング」と呼ばれることが多い。従来のクッション性の高いランニングシューズとは対照的に、自然な足の動きを重視し、人間本来の走行メカニズムを活かす走法として注目されている。特に2000年代後半以降、欧米を中心に健康志向やナチュラルランニングブームとともに普及した。
運動生理学的には、ベアフットランニングは足底の固有感覚受容器を活性化し、着地衝撃を効率的に吸収するための自然な動作パターンを促進するとされる。従来のシューズランニングでは踵着地(ヒールストライク)が一般的であるが、裸足では前足部(フォアフット)や中足部(ミッドフット)での着地が主流となり、関節や骨への負担分散が変化する。スポーツ科学においては、ランニング障害の予防や走行効率の向上を目的とした研究が盛んに行われている。
実際の応用としては、完全に裸足で芝生や砂浜を走る方法、または「ベアフットシューズ」と呼ばれる薄底で足指の動きを妨げないシューズを用いる方法がある。トレーニング現場では、足裏の感覚を養い、走行フォームを改善する補助的な手段として取り入れられることが多い。マラソンランナーやトレイルランナーの一部は、持久力だけでなく走行動作の効率化を目的として取り入れている。
ベアフットランニングのメリットは以下の通りである。
加えて、精神的なリフレッシュ効果や「自然と一体になる感覚」を得られる点も意義深い。
「裸足で走れば必ず怪我がなくなる」という誤解があるが、むしろ準備不足で急に実践すると足底筋膜炎やアキレス腱障害のリスクが高まる。ベアフットランニングは徐々に導入し、最初は短い距離や柔らかい地面から始めることが推奨される。また、舗装路での長時間走行は外傷や疲労骨折の危険があるため注意が必要である。
研究では、ベアフットランニングがランニングエコノミー(酸素消費効率)の改善に寄与する可能性が報告されている一方で、怪我の発生率が必ずしも低下するとは限らないとされる。実例としては、ケニアやエチオピアの長距離ランナーが幼少期から裸足で走り込みを行っていたことが知られており、その自然な走法が国際的な成功につながっているとも言われている。また、フィットネスクラブや陸上競技部でも補強トレーニングとして短距離の裸足ランニングが導入されている。
A1. 初心者がいきなり長距離を裸足で走るのは危険です。短距離や芝生で少しずつ慣らすのがおすすめです。
A2. はい。普段は通常のシューズを使い、一部のトレーニングにベアフットを取り入れる方法が推奨されます。
A3. 柔らかい地面から始め、段階的に距離と時間を増やすことが重要です。またストレッチや補強運動も有効です。