ベータヒドロキシ酪酸(BHB)

ベータヒドロキシ酪酸(BHB)とは?

ベータヒドロキシ酪酸(Beta-Hydroxybutyrate、略称BHB)とは、体内で肝臓が脂肪酸を分解する際に生成されるケトン体の一種です。エネルギー源としてグルコースに代わる役割を持ち、特に糖質制限や断食中に重要なエネルギー供給源となります。サプリメントとしても「BHB塩」や「ケトンエステル」の形で摂取され、ケトジェニックダイエットや持久力向上のサポートとして利用されています。

生理学的・栄養学的な概要

BHBは脂肪酸が分解される際に生成され、肝臓から血中に放出されることで全身の細胞でエネルギー源として利用されます。特に脳は通常ブドウ糖を主なエネルギー源としますが、BHBは血糖が低下した状況でも脳のエネルギーを維持することができます。また、抗炎症作用や神経保護作用があることも示され、運動パフォーマンスや認知機能の維持に寄与する可能性があります。

期待できる効果・メリット

BHBの摂取により、糖質制限時のエネルギー不足の補填、脂肪燃焼の促進、持久力の向上、筋肉の分解抑制、集中力や認知機能のサポートが期待できます。また、ケトジェニックダイエットとの併用で体脂肪減少を助ける効果や、運動後の疲労軽減にも寄与するとされています。

不足・欠乏や過剰摂取の影響

BHBは体内で必要に応じて生成されるため、通常は欠乏症はありません。ただし、極端な糖質制限や断食でケトン体が過剰に生成されると「ケトアシドーシス」と呼ばれる酸性血症が起こることがあり、糖尿病患者では特に注意が必要です。サプリメントの過剰摂取では一時的に胃腸不快感や下痢、電解質バランスの乱れが起こる場合があります。

摂取方法と推奨量

BHBは食品中にはほとんど含まれず、主にサプリメントとして摂取されます。一般的な目安は、BHB塩として1日5〜12g程度が多くの研究で使用されています。摂取タイミングは運動前や朝食時に摂ることで、ケトン体の血中濃度上昇とエネルギー供給の最大化が期待できます。

トレーニングやダイエットとの関係

BHBは運動時の脂肪酸利用を促進し、糖質制限下でも持久力を維持するサポートをします。特にケトジェニックダイエット中では、筋肉の分解を抑制しつつ体脂肪の燃焼を促進するため、ボディメイクや減量時の栄養戦略として有用です。また、集中力や疲労感の軽減にも寄与するため、トレーニングパフォーマンスの向上に役立ちます。

関連する研究・エビデンス

臨床研究では、BHBの摂取がケトン体血中濃度の上昇、運動持久力の向上、疲労軽減、脂肪酸酸化の促進に効果があることが示されています。また、神経保護作用や認知機能の改善に関する動物実験や一部ヒト試験も報告されており、糖質制限中のエネルギー補填や健康維持の補助として注目されています。

よくある誤解や注意点

「BHBを摂ればすぐに脂肪が燃える」「糖質制限をしなくても痩せる」といった誤解があります。BHBはあくまでエネルギー源としての補助であり、ダイエットやパフォーマンス向上には運動や食事管理と併用することが必要です。また、糖尿病患者や腎機能に問題がある場合は、医師の指導の下での使用が推奨されます。

よくある質問(FAQ)

Q1. BHBは食品から摂れますか?

A1. 食品中にはほとんど含まれず、主にサプリメントとして摂取されます。

Q2. 運動前に摂ると効果がありますか?

A2. はい。運動前に摂取すると血中ケトン体が上昇し、持久力向上や疲労軽減が期待できます。

Q3. 糖質制限をしていないと意味がないですか?

A3. 糖質制限下で最大の効果が期待できますが、運動中のエネルギー補給や集中力向上にも有用です。

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