マイオネクチン(Myonectin, 別名 CTRP15)は、骨格筋から分泌されるマイオカインの一種で、主に脂質代謝に関与することが知られています。英語では「Myonectin」と表記され、運動時に骨格筋から分泌されることで、脂肪組織や肝臓に作用し、脂肪酸の取り込みや利用を促進します。筋肉は単なる運動器官にとどまらず、内分泌器官として全身の代謝調整を担っており、マイオネクチンはその代表的な代謝調整ホルモンのひとつです。
マイオネクチンは、主に運動による筋収縮によって誘導されます。特に有酸素運動後に分泌が増えることが報告されており、血中脂質の調整に寄与します。また、栄養状態、エネルギーバランス、インスリン感受性の変化もマイオネクチン分泌に影響します。肥満や運動不足の状態ではマイオネクチン分泌が低下すると考えられています。
マイオネクチン自体は筋肥大に直接作用するホルモンではありませんが、筋肉と全身代謝をつなぐ重要な役割を果たします。
マイオネクチンは運動依存的に分泌が増加します。特に持久的な有酸素運動(ジョギングやサイクリングなど)で顕著に分泌が促され、脂肪酸を効率的にエネルギーへと変換するサポートをします。定期的な運動習慣はマイオネクチンの基礎的分泌量を高め、代謝改善や生活習慣病予防に役立ちます。
マイオネクチンは特定の食品やサプリから直接摂取できるものではありませんが、バランスの良い食事はその分泌や作用をサポートします。特にオメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油など)や食物繊維、抗酸化物質は脂質代謝やインスリン感受性の改善に寄与し、マイオネクチンの働きを補完すると考えられます。
マイオネクチン分泌が不足すると、脂質代謝が低下し、血中脂肪酸や中性脂肪が高くなる可能性があります。これは肥満、脂肪肝、インスリン抵抗性の進行に関与します。一方で、過剰に分泌されることによる明確な健康被害は現時点で報告が少なく、研究が進められている段階です。
動物実験やヒトでの研究により、マイオネクチンが脂質代謝の改善やインスリン感受性の向上に寄与することが示されています。また、肥満や糖尿病モデルにおいてマイオネクチンの減少が確認されており、運動や生活習慣改善による増加が代謝改善の一因となる可能性が報告されています。
「マイオネクチンを増やすサプリがある」という誤解がありますが、現時点では外部から直接摂取できる形でのサプリメントは存在しません。マイオネクチン分泌を促す最も効果的な方法は、定期的な運動と健康的な生活習慣です。
A1. 有酸素運動(ランニング、サイクリング、水泳など)で分泌が特に増加します。
A2. いいえ。マイオネクチンはサプリや食品から直接摂取することはできず、運動によってのみ体内で分泌されます。
A3. 直接的な筋肥大作用はありませんが、脂質代謝改善や持久力向上を通じて間接的に筋肉の健康を支えます。