ミオグロビン(Myoglobin)とは、筋肉内に存在する酸素結合タンパク質で、酸素を一時的に貯蔵し、筋肉の代謝に必要な酸素を供給する役割を持ちます。読み方は「ミオグロビン」、英語表記は Myoglobin です。ヘモグロビンと同じくヘムを持ち酸素と結合しますが、赤血球ではなく筋細胞内に存在する点が特徴です。
ミオグロビンは1分子のポリペプチド鎖と1つのヘム基から構成され、酸素を可逆的に結合できます。酸素分圧が低下した際に、筋細胞に酸素を供給する「酸素バッファー」として機能します。特に持久力が求められる筋肉(心筋や遅筋線維)に多く含まれ、酸素欠乏状態でもATP生成を維持するのに役立ちます。
持久系スポーツや有酸素運動を行うことで、筋肉中のミオグロビン量は増加することが報告されています。これにより酸素の貯蔵・供給能力が向上し、筋肉の疲労耐性やパフォーマンスが改善されます。特に長距離ランナーや水泳選手の筋肉ではミオグロビン濃度が高いことが知られています。
ミオグロビンは筋肉内での酸素供給を担うため、運動能力や持久力に直結します。酸素不足に陥った筋肉でもATPを効率的に生成できるため、筋収縮の維持や疲労の遅延に寄与します。また、心筋や骨格筋での酸素代謝を支えるため、健康維持やスポーツパフォーマンスにおいて重要です。
研究では、有酸素運動や長期の持久トレーニングにより、筋肉中のミオグロビン濃度が増加することが示されています。さらに、ミオグロビンの高い筋肉は酸素利用効率が良く、疲労耐性や回復能力が向上することが報告されています。動物実験では、ミオグロビン欠損による筋酸素利用効率の低下も確認されています。
ミオグロビンはヘモグロビンと似ていますが、血液中ではなく筋細胞内に存在するため、酸素運搬ではなく酸素貯蔵の役割を担う点が異なります。また、血中にミオグロビンが出現する場合は筋損傷や心筋梗塞の指標となるため、通常の運動と病的状態の区別が重要です。
A1. 特に心筋や持久性の高い骨格筋(遅筋線維)に多く含まれます。
A2. はい。有酸素運動や持久系トレーニングで筋内濃度が上昇します。
A3. 筋損傷や心筋梗塞など病的な場合は注意が必要で、医療機関での評価が必要です。