ミオシン(Myosin)とは、筋収縮に関与する主要なモータータンパク質で、アクチンフィラメントと相互作用して筋肉を収縮させる役割を持ちます。読み方は「ミオシン」、英語表記は Myosin です。筋肉の骨格筋・心筋・平滑筋に存在し、ATPのエネルギーを利用して力を発生させます。
ミオシンは頭部、首部、尾部から構成され、頭部にはATP分解能とアクチン結合部位があります。筋収縮は、ATPの加水分解によってミオシン頭部がアクチンフィラメント上をスライドすることで発生します。骨格筋では速筋型と遅筋型の異なるアイソフォームが存在し、それぞれ収縮速度や疲労耐性が異なります。
筋力トレーニングや高強度運動により、ミオシンの発現量やタイプが変化することがあります。速筋線維(タイプII)ではパワーやスピードに適したミオシンが多く、遅筋線維(タイプI)では持久力に適したミオシンが優勢です。トレーニングにより速筋・遅筋の割合やミオシンのアイソフォームが適応的に変化することがあります。
ミオシンは筋収縮の中心的存在で、筋力、スピード、持久力に直接影響します。また、筋損傷からの回復や筋肥大にも関与しており、筋肉のパフォーマンスや日常生活の運動機能維持に不可欠です。異なるタイプのミオシンは、運動能力や競技特性に応じた筋肉機能の最適化に重要です。
研究では、筋力トレーニングにより速筋型ミオシンの発現が増加することが報告されています。また、持久系トレーニングでは遅筋型ミオシンの割合が増え、酸素利用効率が向上することが確認されています。動物実験やヒト筋生検の解析により、ミオシンアイソフォームの変化が運動能力に直結することが示されています。
ミオシンは「筋肉そのもの」ではなく、筋収縮を担うタンパク質の一種です。アクチンと協働することで力を発揮しますが、単体では収縮は起こりません。また、速筋と遅筋のアイソフォームはトレーニングで完全に変換できるわけではなく、個人差や遺伝的要素も影響します。
A1. はい。骨格筋・心筋・平滑筋のいずれにも存在しますが、アイソフォームや機能は異なります。
A2. 一部のアイソフォームの割合は運動に応じて変化しますが、完全に入れ替わるわけではありません。
A3. いいえ。アクチンフィラメントとの相互作用がなければ筋収縮は起こりません。