ミディアムグリップ(Medium Grip)とは、トレーニングにおいてバーやハンドルを握る際の「中間的な手幅」を指す用語である。日本語では「中間握り」「標準グリップ」とも表現される。英語表記は「Medium Grip」であり、ベンチプレス、ラットプルダウン、チンニング(懸垂)などの種目でよく用いられる。ワイドグリップ(広めの握り)とナローグリップ(狭めの握り)の中間に位置する手幅で、最もバランスの良い刺激が得られるのが特徴である。
スポーツ科学の観点から、握り幅は動作の関節角度や筋肉への負荷分布に大きな影響を与える。ワイドグリップは可動域を制限し大胸筋外側や広背筋外側に負荷を強めるのに対し、ナローグリップは上腕三頭筋や広背筋内側への関与が増える。ミディアムグリップはその中間に位置し、動作効率と筋肉のバランスを最も安定的に保つ握り幅として推奨される。
ミディアムグリップは以下の種目で特に応用される。
特に初心者や関節への負担を避けたい人にとって、ミディアムグリップは安全性と効果の両立が可能な握り幅である。
ミディアムグリップのメリットは以下の通りである。
そのため、筋肥大を狙う中級者から筋力強化を目的とする上級者まで幅広く意義がある。
「ミディアムグリップは特別な効果がない」という誤解があるが、実際には関節保護と全体的な筋肉刺激を両立する基本姿勢として最適である。また「誰にでも同じ幅が正しい」という考えも誤りであり、肩幅や腕の長さによって最適なミディアムグリップは個人差がある。注意点としては、常に同じグリップ幅だけに依存すると筋肉の発達が偏るため、他のグリップ幅と組み合わせるのが望ましい。
研究では、ベンチプレスにおいてミディアムグリップが最も効率的に大胸筋と上腕三頭筋を動員することが報告されている。また、懸垂やラットプルダウンにおいても、肩関節のストレスを最小限に抑えつつ広背筋全体を活性化できることが示されている。実例として、パワーリフティングやボディビルディングの現場でも、基礎的な強化においてミディアムグリップが標準とされるケースが多い。
A1. 一般的には肩幅から拳1〜1.5個分外側が目安ですが、体格により調整が必要です。
A2. はい。フォームが安定しやすく関節への負担も少ないため、初心者には最も適した握り幅です。
A3. 劣るわけではありません。むしろ全体的なバランスを重視する場合にはミディアムグリップが最も有効です。