ミディアムチェーン脂肪酸(Medium-Chain Triglycerides、略称:MCT)は、中鎖脂肪酸を主成分とする脂質で、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)などを含みます。通常の長鎖脂肪酸と比べて分子が短いため、消化・吸収が速く、肝臓で迅速にエネルギーに変換される特徴があります。ココナッツオイルやパーム核油などに含まれ、サプリメントとしてはオイルやパウダーの形で摂取可能です。
MCTは消化酵素リパーゼによって容易に分解され、門脈を通じて肝臓に直接運ばれるため、脂肪として蓄積されにくく、即座にエネルギー源として利用されます。また、ケトン体の生成を促すことから、ケトジェニックダイエットや低炭水化物食でのエネルギー補給に適しています。中鎖脂肪酸は腸内での吸収が速く、血中脂質や血糖値への影響も比較的少ないとされています。
MCTは迅速なエネルギー供給に優れており、運動中や作業中の集中力や持久力の維持に役立ちます。脂肪として蓄積されにくく、体脂肪減少をサポートする可能性があります。また、ケトン体の生成を促進することで脳のエネルギー供給を助け、認知機能や精神的パフォーマンスの向上にも寄与することが報告されています。
MCTは体内で合成可能な場合もあり、欠乏症は一般的には報告されていません。しかし、過剰摂取すると消化器症状(下痢、腹部膨満、吐き気など)を引き起こすことがあります。また、長期的な高脂肪摂取としての偏った使用は、カロリー過剰や栄養バランスの崩れにつながる可能性があります。
MCTオイルはスプーン1〜2杯(約10〜30g)を目安に、サラダや飲料、スムージーに加えて摂取することが一般的です。運動前や朝食時に摂ることで、効率よくエネルギーとして利用されます。粉末タイプのサプリは水やプロテインと混ぜて摂取可能です。初めて摂る場合は少量から始めることで消化器症状を避けることができます。
MCTは運動中のエネルギー補給や脂肪燃焼サポートに有効です。長鎖脂肪酸と比べて素早くエネルギーになるため、持久系スポーツや朝のトレーニング前の摂取に適しています。また、ケトジェニックダイエットや低炭水化物ダイエット中の脂質源として活用され、体脂肪減少やエネルギー維持をサポートします。
研究では、MCTの摂取により運動パフォーマンスの維持、体脂肪減少、ケトン体生成促進が確認されています。また、認知機能の改善や血糖値管理の補助的効果も報告されており、体内での即時エネルギー供給源としての有用性が裏付けられています。ただし、過剰摂取による消化器症状のリスクも示されているため、量の管理が重要です。
「MCTを摂れば必ず痩せる」という誤解がありますが、摂取量や総カロリーを無視すると体脂肪の減少は限定的です。また、消化器症状を避けるために初回は少量から始め、他の食事とのバランスを考慮する必要があります。ケトン体の生成はサポートしますが、糖質制限なしでは過剰な脂肪摂取となる場合があります。
A1. 朝食時や運動前、またはトレーニング中のエネルギー補給として摂取するのがおすすめです。
A2. 適量であれば脂肪として蓄積されにくいですが、過剰に摂取するとカロリー過多となり体脂肪増加の原因になる可能性があります。
A3. 用途や摂取しやすさで選べます。オイルは飲料や調理に、粉末はプロテインやスムージーに混ぜやすく消化しやすいです。