筋原線維(きんげんせんい、Myofibril)とは、筋細胞(筋線維)の中に存在する細長い繊維状の構造で、筋収縮の基本単位となる構造体です。読み方は「きんげんせんい」、英語表記は Myofibril です。筋原線維は筋肉の収縮や力の発生に直接関与し、筋肉の形態と機能を決定します。
筋原線維は多数のサルコメア(筋節)が連なった構造で、アクチン(細いフィラメント)とミオシン(太いフィラメント)というたんぱく質フィラメントが規則正しく配列しています。このサルコメアの収縮・弛緩が筋収縮のメカニズムです。さらに、筋原線維内にはトロポニン・トロポミオシンなどの調節タンパク質も存在し、カルシウムイオン濃度の変化に応じて収縮の制御が行われます。
筋力トレーニングやレジスタンストレーニングは筋原線維の太さ(筋肥大)や数を増加させる効果があります。特に高負荷・低回数のトレーニングではミオシンフィラメントの増加が促進され、筋線維の収縮力が向上します。また、持久力トレーニングでは筋原線維内のミトコンドリア密度や酸化酵素活性が高まり、疲労耐性の向上につながります。
筋原線維は筋肉の収縮力、筋力、持久力に直接影響するため、運動パフォーマンスや日常生活動作にとって非常に重要です。筋原線維の健康や機能は加齢や運動不足によって低下しやすく、筋力低下や身体機能の低下の原因となります。したがって、適切な運動や栄養で筋原線維を維持・強化することが健康維持に欠かせません。
研究によると、筋原線維の太さは筋力と強く相関しており、筋肥大トレーニングにより1〜3か月で筋原線維径が増加することが報告されています。また、サルコメアの数や筋原線維の配列が運動習慣に応じて適応的に変化することも知られています。筋萎縮症や加齢に伴う筋力低下では、筋原線維の減少が主な原因となります。
筋原線維と筋線維は同じものではありません。筋線維は筋肉の細胞全体を指し、筋原線維はその中の収縮単位です。また、筋肥大は筋原線維の太さの増加によるものであり、筋原線維の数が劇的に増えることは成人ではほとんどありません。適切なトレーニング強度と栄養が筋原線維の発達には不可欠です。
A1. 成人では筋原線維の数はほとんど増えず、主に太さ(肥大)が増加します。
A2. アクチン・ミオシンフィラメント、カルシウムイオン、ATP(エネルギー)が必要です。
A3. ミトコンドリア密度や酸化酵素活性が増え、筋原線維の疲労耐性が向上します。