筋細胞(きんさいぼう、Muscle Cell)は、筋肉を構成する基本的な細胞で、筋収縮を担う専門化した細胞です。読み方は「きんさいぼう」、英語表記は Muscle Cell です。筋細胞は筋線維とも呼ばれ、骨格筋、心筋、平滑筋の3種類に分類され、それぞれ構造や機能に特徴があります。
筋細胞は長く伸びた形状を持ち、内部には多数の筋原線維が存在します。骨格筋細胞は横紋構造をもち、自発的な運動を可能にします。心筋細胞は電気的連結により同期的な収縮を行い、心拍を生成します。平滑筋細胞は血管や内臓に存在し、自律神経により収縮を制御します。筋細胞の収縮はアクチンとミオシンの相互作用によるサルコメアの滑走理論で説明されます。
筋力トレーニングは筋細胞内の筋原線維を太くし、収縮力を高めます。また、持久力トレーニングでは筋細胞内のミトコンドリアや毛細血管の密度が増加し、酸素供給能力や代謝効率が向上します。運動は筋細胞の機能的・構造的な適応を促し、パフォーマンス向上や疲労耐性の改善につながります。
筋細胞は身体の運動能力だけでなく、基礎代謝や体温維持、血糖調節などの生理機能にも寄与します。特に骨格筋細胞は全身のエネルギー消費量の大部分を占め、健康維持や老化予防の観点からも重要です。また、筋細胞の損傷や萎縮は筋力低下や代謝異常の原因となります。
研究では、筋細胞内の筋原線維やミトコンドリアの増加が筋力や持久力の向上と相関することが報告されています。また、加齢に伴う筋細胞の減少や萎縮がサルコペニア(加齢性筋減少症)の主要因であることが示されています。さらに、運動や栄養介入により筋細胞の再生や肥大が可能であることも明らかになっています。
筋細胞と筋原線維を混同しやすいですが、筋細胞は筋肉の細胞そのものであり、筋原線維は細胞内の収縮単位です。また、筋細胞の数は成人ではほとんど増えず、トレーニングで変化するのは主に筋細胞内の構造(筋原線維やミトコンドリア)の量です。
A1. 骨格筋細胞は数ミリメートルから数センチメートルまで伸びるものもあります。
A2. 血中の衛星細胞が筋細胞の修復や肥大に関与し、再生をサポートします。
A3. いいえ。骨格筋、心筋、平滑筋で構造や収縮の制御機構が異なります。