筋繊維(きんせんい、Muscle Fiber)とは、骨格筋を構成する細長い多核細胞であり、筋収縮を行う基本的な構造単位です。読み方は「きんせんい」、英語表記は Muscle Fiber です。筋繊維は複数の筋原線維を含み、収縮の効率や筋力に大きく影響します。種類としては速筋(Type II)と遅筋(Type I)に分類され、それぞれ収縮速度や疲労耐性が異なります。
筋繊維は細胞膜(サルコレマ)で覆われ、内部には多数の筋原線維やミトコンドリア、サルコメアが存在します。速筋繊維は瞬発的な収縮に適しており、主にグリコーゲンをエネルギー源として使用します。遅筋繊維は持久力運動に適し、脂肪酸や酸素を用いた有酸素代謝に優れています。また、筋繊維は運動や栄養の影響で筋肥大や代謝能力の変化が起こります。
筋繊維は運動の種類に応じて適応します。筋力トレーニングでは筋繊維内の筋原線維が太くなり、瞬発力や筋力が向上します。持久力トレーニングでは、筋繊維内のミトコンドリア密度が増加し、酸素利用効率や疲労耐性が向上します。また、運動の強度や頻度によって速筋・遅筋の割合や機能が部分的に変化することも知られています。
筋繊維は筋力、持久力、身体機能の基礎を担う重要な要素です。特に骨格筋の収縮によって姿勢保持や運動能力が支えられ、基礎代謝の維持にも寄与します。また、筋繊維の適切な発達はスポーツパフォーマンス向上や日常生活での疲労予防、老化による筋力低下(サルコペニア)の防止にも重要です。
研究では、トレーニングによって筋繊維の断面積が増加することが筋肥大の主因であることが示されています。また、遅筋繊維は持久力トレーニングにより酸化酵素活性や毛細血管密度が増加することが確認されています。さらに、筋繊維の種類や分布は遺伝的要素と運動習慣の両方で決まることも研究で示されています。
筋繊維と筋細胞は同義で用いられることがありますが、正確には筋繊維は骨格筋細胞を指します。また、筋肥大は筋繊維数の増加ではなく、筋繊維内の筋原線維や細胞構造の増加によって生じます。速筋と遅筋の性質は完全には変えられませんが、運動による機能的な適応は可能です。
A1. 骨格筋の筋繊維は数ミリメートルから数十センチメートルまで長く伸びることがあります。
A2. 完全には変えられませんが、トレーニングによって速筋・遅筋の機能的特性は一部変化します。
A3. 成人では筋繊維の数はほとんど増えず、主に太さや内部構造の変化によって筋力が向上します。