VO2max(ブイオーツーマックス)は「Maximum Oxygen Uptake(最大酸素摂取量)」の略で、日本語では「最大酸素摂取量」と呼ばれる。読み方は「ブイオーツーマックス」。人が全力で運動した際に体が利用できる酸素の最大量を示す指標であり、一般的に「mL/kg/min(体重1kgあたり1分間に利用できる酸素量)」で表される。持久力や心肺機能の評価において中心的な役割を担い、スポーツ科学や臨床分野でも幅広く活用されている。
VO2maxは酸素の取り込み・運搬・利用の総合的な能力を反映する。肺で取り込まれた酸素が血液を介して心臓から全身へ運ばれ、筋肉細胞のミトコンドリアでエネルギー(ATP)産生に使われる。この一連のシステムが限界に達したときに測定される酸素利用量がVO2maxである。つまり、肺活量や心拍出量、赤血球による酸素運搬能、筋線維やミトコンドリアの機能など多くの要因が関与する。
持久系トレーニング(ランニング、サイクリング、水泳など)はVO2maxの向上に大きな影響を与える。特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)は効率的にVO2maxを改善する方法として知られている。筋トレ単独ではVO2maxの変化は限定的だが、全身運動やサーキット形式を取り入れることで改善が見込まれる。また、VO2maxは運動のトレーニングゾーン設定にも利用され、個人の持久力強化や脂肪燃焼プランの基準となる。
VO2maxの値は単にスポーツパフォーマンスの指標だけでなく、健康の重要なバロメーターでもある。研究では、VO2maxが高い人ほど心疾患や代謝性疾患のリスクが低く、寿命が長い傾向にあることが示されている。アスリートにとっては競技力向上の基盤であり、一般人にとっては健康寿命延伸に直結する。したがってVO2maxは「体力」と「健康」の双方を測る重要な指標といえる。
複数の研究により、VO2maxが高いことはマラソンや長距離サイクリングなどの持久系競技におけるパフォーマンス向上と密接に関わることが示されている。さらに、週3〜5回の有酸素運動を行うことでVO2maxが改善されることが確認されている。特にHIITは短期間でも顕著な向上効果があることが報告されており、忙しい人にも効率的な方法として注目されている。一方で、加齢に伴いVO2maxは低下するが、定期的な運動によってその減少を緩やかにできることが明らかとなっている。
VO2maxが高ければ必ずしも競技成績が優れるわけではなく、乳酸閾値や運動効率といった他の要素も重要である。また、ウェアラブル機器で表示されるVO2maxは推定値であり、正確な測定には呼気ガス分析を伴う運動負荷試験が必要となる。さらに、VO2maxは遺伝的要因にも影響を受けるため、必ずしも無制限に向上できるわけではない点にも留意が必要である。
A1. 最も正確な方法は呼気ガス分析を用いた運動負荷試験ですが、最近はスマートウォッチやランニングアプリで推定することも可能です。
A2. ランニングやサイクリングなどの有酸素運動、特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)が効果的です。
A3. 心肺機能が低下し、持久力が不足するだけでなく、心疾患や代謝異常のリスクが高まるとされています。